大学の研究室の会計事情2

大学の独立行政法人化に伴い、
研究室の会計事情も大きく変わった。
これまではある程度大学から研究費がいくらか支給されていたが、
法人化後はそれがなくなり、
研究室の研究費の多くは科研費などによってまかなわなければならない。
科研費を獲得できない研究室は細々とお金のかからない研究をするしかない。
聞くところによると、学生に実験させるお金がないので、
新しい学生を取らない研究室もあるそうだ。
科研費と獲得するためには、
ある程度の業績と見通しの明るい研究計画が必要だ。
しかし現実は、
お金がない→研究成果がなかなかでない→科研費を獲得できない
という負のスパイラルにはまり込んでしまう。


一方、科研費を獲得したからといって、
楽になるわけではない。
獲得のための申請書作成には多くの研究者が頭を悩ますし、
年度末の報告書作成および報告会にはさらに多くの労力を必要とする。
1億円の科研費を1つ持っている研究者より、
100万円の科研費を3つ持っている研究者のほうが忙しい現実。
研究テーマも申請課題に合わせたものを用意しなければならない。
研究費に見合う結果が出なければ容赦なく切られる。
満期以前での研究終了はまるで前科のようにその後の研究生活に付きまとう。


貧乏だけどテーマ選択の自由や報告義務のない研究生活を送るか
研究費はあるけど、テーマ限定、報告義務のある研究生活を送るか
昔に比べて、大学での研究は悠々自適ではなくなり、
世間にわかる成果を求められるようになってきている。